コラム

2023年5月     怒りについて思うこと

読書が趣味と言うほどではありませんが、最近2冊続けて出家したお坊さんが書かれた本を読みました。

そこには、「心を穏やかに過ごす・穏やかな人格」といった内容のことが書かれていました。「怒りというものは、人を自分の思い通りに動かそうとすることから生じます」と書かれており、まさにその通りであると痛感いたしました。

 「怒る」と「叱る」は違います。怒りとは自分のための感情です。叱るとは、相手のための改善・注意・アドバイスの感情です。自分のためか相手のためかの違いです。

以前読んだ本で、『怒りに正しさはない』と書かれていたことがあり、それを理解した後は、怒ることがほとんどなくなりました。

自分の感情で怒る事が、自分にとって何の得になるのか。怒りの感情が、自分自身や周囲に与える影響で、よくなることがあるのでしょうか。全く無いと言っても過言ではないと思います。

これから先の人生で、怒っていたり、文句を言っていたり、他人を批判していたりするマイナスの思考で過ごす時間と、笑っていたり、楽しんでいたり、喜んでいたりするプラスの思考で過ごす時間では、どちらの時間が多い方が幸せに感じるでしょうか。もちろん、後者の時間が多いほうが良いでしょう。

『因果応報』という言葉があります。goo辞書では、『人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ』とあります。思考も一緒ではないでしょうか。

マイナスの思考でいれば、負の出来事が多く起こり、プラスの思考でいれば良い出来事が多く起こるものです。


私自身、日ごろ無意識に湧き出る負の感情を受け止めつつ、前向きな感情に切り替えられるよう心を磨き、穏やかな人生を送りたいと思いました。


常務理事 中山 孝浩


2023年4月     欲求と社会との関係

人は無意識でいると「安楽の欲求」に流されます。しかし、一方で、楽になればなるほど、つまらなくなるものです。なぜなら、人が真に求めているのは充実感だからです。

 この充実感、すなわち「充実の欲求」は、常に意識しないと得ることができません。充実感に溢れた生き方ができれば、常にワクワクして楽しくなり、自ら考えて行動する自然性の人間へと変わっていき、更なる充実感へと繋がっていきます。

 当たり前のことですが、私たちは人類社会に貢献することで評価を得て、その結果として所得を得ることができます。これが世の中の仕組みです。

「安楽の欲求」に流されると「責任を取りたくない」「面倒は避けたい」「やったことがないことはしたくない」などと考えるようになります。こうした考えは他者への責任転嫁や、自身の能力向上の妨げとなります。すると、社会的評価や信用を失い、仕事も回ってこなくなるため、所得を得ることもできなくなり、結果、「楽」に生きていくことがでません。

皮肉なことに、「楽」に生きようとすると「楽」ができなくなり、充実した人生も送ることができなくなってしまいます。そして何より「格好悪い」と思います。

 逆に「充実の欲求」を意識すれば、すべてが逆になります。「責任を持って仕事をしよう」「面倒でも率先して取り組もう」「初めてのことでも積極的に挑戦しよう」と考えるようになります。こうした考えになるとすべての事柄に対し、自ら考え、自己責任で自発的に取り組み、自身の能力向上に繋がります。すると、社会的評価や信用が上がり、仕事もどんどん回ってきて、より多くの所得を得ることができ、結果、充実した人生が送れるようになります。そして何より「格好いい」と思います。

 「安楽」か「充実」か。一つ一つの仕事で常に問われています。そしてそれを選ぶのは、他でもない自分自身です。一度きりの人生です。どうせなら格好よく生きた方が良いと思いませんか。

理事長  渡辺 忠


2023年3月     令和5年度税制改正 ~相続税・贈与税~

前回に引き続き令和5年度税制改正大綱より、今回は相続税・贈与税関係の2項目の改正をご案内させていただきます。

 令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税につき、

1 生前贈与加算の対象期間が3年から7年に延長

2 相続時精算課税制度の見直し

といった改正が予定されています。

 令和4年度の税制改正において、相続税と贈与税の一体課税の本格的な検討を始めることとされていましたが、それが具体化してきたものと考えられます。

 まず、生前贈与加算についてですが、現状、相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は、相続財産に加算して相続税を計算することとされています。その対象期間が3年から7年に延長されます。この規定は、「相続開始直前の贈与」は相続税の課税回避(節税)につながると考えられるために設けられているものですが、その期間が7年に延長されることによりこれまで以上に生前贈与による節税が難しくなります。

 これに対して相続時精算課税制度(2,500万円まで非課税で贈与できる制度)の見直しについては、現状、相続時精算課税制度を選択した場合は、それ以後の年において年間110万円の基礎控除は受けられないこととされていますが、今後は110万円の基礎控除を可能とすることにより相続時精算課税制度を選択し易くしようというものです。

 相続税対策のための贈与は、むやみに行なえば良いというものではなく、また、時期を逃してしまうと効果がなくなってしまうこともあります。今回の改正により、今後の相続税対策のための贈与はこれまで以上に早い段階から、慎重な判断の基に行なう必要があると言えます。

 相続税対策のための贈与をお考えの場合は、まずは弊社スタッフにお気軽にお声掛けいただきたいと思います。状況に応じた最適な手法を一緒に検討させていただきます。


理事  岩崎 隆昭

2023年2月     令和5年税制改正への事前の備え

家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置を講ずる。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築を行う。加えて、自動車重量税のエコカー減税や自動車税等の環境性能割等を見直す。租税特別措置については、それぞれの性質等に応じ適切な適用期限を設定する。具体的には、所定のとおり税制改正を行うものとする。また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、所定のとおり決定する。

これが令和5年の税制改正大綱の前文です。

内容が確定し、詳細が判明するのはまだ先ですが、改正への備えとしてお伝えしたいと思います。個人は自分の取れるリスクを考慮して、今まで以上に預金から投資への配分を考える必要があります。相続や贈与の課税も変わりますので、弊社からの情報に注目してください。

事業者は、令和5年10月から消費税のインボイス制度が始まります。制度の開始に間に合うように、準備をお進めください。レッドサポートが、ご支援をさせていただきます。


理事 萩原 春男

2023年1月     新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

最近の経理業務システムにおいて、銀行の通帳取引やカード決済による取引は、ネットを通じて自動で仕訳計上されます。さらに、カード決済時の領収証と明細、および銀行引き落とし時の仕訳に重複があれば、同一取引をAIが判断し再確認を促してくれます。

現金取引やキャッシュレス決済の領収証を携帯写真やスキャナー読み込みすれば、AIが過去の仕訳から同様のものを表示し、その中から選択すれば仕訳が計上されるようになっています。さらに、スマートレシート等のアプリを利用すれば、領収証が携帯やパソコンに即時に送信され、仕訳を自動計上することが可能となります。そんな時代が到来しています。

 それに伴い、電子帳簿保存法や電子インボイス制度の導入が話題となっています。電子インボイス制度の導入は、必然的に電子化された証票や帳簿を保存することになるでしょう。いわゆる、DX化です。

 DXとは、デジタルテクノロジーを駆使して経営やビジネスプロセスを再構築することです。近年、経済環境および経営環境は急激に変化しています。その中で生き残るためには、デジタルテクノロジーを駆使して、経営の仕組み、ビジネスプロセスを作り変える必要があります。もちろん、我々税理士も例外ではありません。

ここでは、とりわけ電子インボイスの導入に着目して、予想されることをみていきます。

 ①経理の透明化が促進され、不正防止につながるものと予想されます。②紙の使用が極端に減少し、SDGsに大きく貢献することになります。③2つの税率に効率よく、低コストで正確に対応していく経理の課題だけでなく、財務基盤の強化や経営判断に欠かせない仕組みとなるでしょう。

 現行の「区分記載請求書方式」では8%と10%の税率ごとに分けた合計金額などを記載する必要があります。インボイス制度が導入されると、これらに加えて適格請求書発行事業者の名称、登録番号を記載しすべての適格請求書を7年間保管する義務が生じます。紙では膨大な量になり、仕入税額控除の申告等必要な請求書を照合するのは大変な作業です。電子データであれば保管場所をとることもなく、データの照合や複雑な税率計算もシステムにより簡素化され、コストもミスも削減可能となります。リモートワークにも的確に対応できるようになるでしょう。

  それに対応してレッドサポートの仕事も変化していかなければなりません。経理の代行や申告書作成代行といった業務はますます減少していくでしょう。いま取り組むべきことは、適格請求書発行事業者登録を積極的に推進し、システムの徹底活用による経理業務の合理化と透明化支援です。さらに今後は、企業内で経営判断に必要な数値をより早くより正確に把握できる体制を構築し適正な利益の確保につなげることがより重要となります。

日本経済を支えているのは税に関わる我々であり、国民ひとりひとりであるとの自覚をもって、今年も経営者の皆様と共に歩んでいきたいと思います。


理事長 渡辺 忠


2022年12月     売上高の見込額

近頃、起業したいという相談を多くいただいております。そこでお話しさせていただくのが、売上高の見込額についてです。

売上高[円]=販売単価[円/個]×販売数量[個]

売上高を上げるには、「単価を上げる」か「数量を増やす」又はその両方という組み合わせになります。

まず、単価をいくらにするかが重要となります。

販売単価は、その商品やサービスの原価(変動費単価)に左右されます。販売単価と変動費単価の差が、限界利益(付加価値)となります。この差が大きいほど限界利益(付加価値)が大きくなるということです。

需要と供給の問題もありますが、ここでは価格について取り上げます。購入者がその販売単価で商品やサービスを購入してくれるのかということです。例えば、販売単価が上昇(値上げ)することで、購入者の購買意欲を減少させてしまう可能性もあります。特に嗜好性の高い商品やサービスの場合は、その傾向が強いと考えられます。一方で、嗜好品の中でも特に希少価値の高いものは、購買者の購買欲求が強い傾向があり、価格が高くても購入意欲が減退することがないこともあります。

販売単価を決定するのは、社長の最も大切な仕事になります。「値決めは経営である。」(故 稲盛 和夫氏の言葉)販売数量は、何人の購買者が欲しいと思うか、また、その商品の認知度がどの程度あるか等によっても左右されます。また、継続的に販売される日用品なのか単発的に販売されるものなのかによっても変わってきます。販売数量は、営業結果が最も影響するものだと考えられます。販売単価、販売数量とも多くの状況によって変動していくものです。いろいろな可能性を検討して売上高の見込額を算出してみていただきたいと思います。

常務理事 中山 孝浩