コラム

2024年11月 「年収の壁」への対応

以前より、パート・アルバイトの雇用に関して「年収の壁(106万円の壁や130万円の壁)」といったことが問題となっていました。

パート・アルバイトの年収が一定額(状況により106万円又は130万円)を超える場合には、配偶者の被扶養者(第3号被保険者)に該当しなくなるため、自身が社会保険に加入しなければならず、手取収入が減少してしまうという問題です。現状はこれを回避する目的で多くの方が就業調整を行い、特に年末に雇用を確保出来ないということが大きな問題とされていました。

 この問題に対して政府は、昨年(令和5年)に「年収の壁」問題への対策を実施しました。さらに厚生労働省のHPにおいて『「年収の壁」への当面の対応策』が更新され、具体的な手続き等が明らかとなりました。

 まだまだ不明瞭な点もあり、今後もさらなる見直しが検討されていますが、現時点での対応策は以下のようになっています。

1.106万円の壁への対応

➀キャリアアップ助成金コースを新設

②社会保険適用促進手当を標準報酬の算定から除外

2.130万円の壁への対応

 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化(注)

3.配偶者手当への対応

企業の配偶者手当の見直しの促進

(注)年収130万円以上となる場合でも、収入が一時的に上がったものであることを事業主が証明した場合には引き続き被扶養認定が可能となります。現状では、この取り扱いは連続2回までとされていますので、少なくとも令和5年と令和6年の2年間については年末において就業調整する必要はないと言えます。

なお、この取り扱いはあくまでも「一時的な収入変動」に対するものであり、その旨を事業主が証明する必要があります。事業主の証明様式は厚生労働省のHPからダウンロードできますのでご利用ください。

「年収の壁」への対応についてはまだまだ不明瞭な点もありますが、弊社スタッフが一緒に検討させていただきますので、まずは弊社スタッフにお声掛けください。

理事  岩崎 隆昭

2024年10月 「レッドサポートの大変」

毎年10月にお届けしております、レッドサポートの「大変(大きく変わること)」シリーズ、今回は6回目を書かせて頂きます。 

昨年は、私自身の病気のために1回飛ばすこととなり、まさしく自分自身の「大変」となった年になりました。詳細は、昨年12月号の巻頭『病気からの復活』に記載させていただいております。おかげさまで今のところ、以前の状況と同じような体調を維持して仕事にも取り組めております。

 さて、レッドサポートの大変についてですが、1つ目は、今年の5月末にレッドサポート設立当初から開設しておりました、オフィス川口を閉鎖致しました。諸々の理由からの決断でした。今後時期が来ましたら、改めて川口に事務所を開設する方向で考えております。

2つ目は、9月末に社員税理士として長年勤めておりました萩原が退職することとなりました。多くのお客様を担当させていただき、皆様には大変お世話になりました。しっかり引継ぎをさせていただき、今後も変わらぬサービスを提供させていただきます。

現在レッドサポートは、本社オフィス浦和、オフィス宮古島、オフィス桶川の3か所の事務所を拠点に、4名の税理士と13名のスタッフでの営業体制となりました。レッドサポートも多くの「大変」を乗り越え、次のステップへの糧として日々進化してまいります。

今月10月から最低賃金が引き上げられ、社会保険の適用拡大が行われました。年末には今年6月から行ってきた月次減税事務の清算を含む例年とは異なる年末調整事務が控えています。企業を取り巻く環境の変化は待ったなしで訪れます。皆様の「大変」に一緒に寄り添い、皆様に喜んでいただけるようにレッドサポートは全力でサポートさせていただきます。今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

常務理事 中山 孝浩

2024年9月 「他責の念と自責の念」

「円安の影響で…」「物価高の影響で…」「政治が悪い…」「社員が言うことを聞かない…」等々、世の中の経営者には、業績が悪くなると、こんな言葉を口にする方がいます。「給料が…」「社長が…」等々、社員も然りです。

こういう言葉を、全部まとめて「他責の念」と呼びます。他者のせいにして、責任逃れをする考え方です。言っていることの内容は合っているのかもしれません。しかし、こうした発言をいくら繰り返したところで、生産性が向上するはずもなく、業績の改善には全く結びつきません。こんなことを考えることも口にすることも、ムダ以外の何物でもありません。

「他責の念」に替わって問われるのが、「自責の念」です。自責の念とは、名経営コンサルタントの故・一倉定氏が言われた「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任だ」という言葉にある通り、「自分のあずかり知らないところで起きた環境変化や他者の行動も、全て自分に責任がある」と考えるくらいの強い責任感を持つことです。そのためには、何か問題が起きた時に「誰かのせいにするのではなく、自分に何が出来るのか、今何をすべきなのか」という順番で考えることが大切です。また、自分が出来ていないことを棚上げし、「周りも出来ていないから」などと、意味のない正当化をするようなこともあってはなりません。大切なことは、他の誰かではなく、自分自身がどうあるべきかだからです。

 とは言え、そう簡単に出来ることではないことも、私自身、自覚しています。

現実的には、外部要因によって、目標が達成できないことや、上手くことが運ばないこともあるでしょう。そんな時は、外部要因を理由に「仕方ない」で済まさず、「自分は問題解決のために何を考え、何をしようとしたのか。この先、何を考え、何をしようとしているのか」と、常に自分に問いかけ、新たな行動を起こすことが大切です。

責任転嫁は成長機会の妨げでしかありません。「他責の念」を捨て、常に「自責の念」を持ち、どんな環境下にあっても、止まることなくことなく成長し続けたいと思っています。

理事長   渡辺 忠

2024年8月 賃上げと教育訓練による税額控除

 中小企業(個人事業主を含む)に対して、令和6年4月1日以後に開始する事業年度(個人事業主は令和7年度)から賃上げを実施した年度に控除しきれなかった税額控除額を5年間繰越す事が出来るように制度が改正されました。

中小企業向けの措置について、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の増加割合が5%以上等である場合に適用できることとし、(中略)、5年間の繰越控除制度を設けた上、その適用期限を3年延長する。(財務省HPより)

  中小企業の賃上げは、全雇用者の給与等支給額について前年度比1.5%以上で適用できます。

上乗せ要件は、教育訓練費が前年度より5%以上増えていることに加え、その事業年度の教育訓練費が全雇用者に対する給与等支給額の0.05%以上であることが条件になっています。仮に全雇用者に対する給与等支給額が1億円とすると教育訓練費は5万円以上で良いので、金額の条件は厳しくありません。教育訓練費は、次の項目を記載した明細書(税務申告時に添付する必要はありません)を保存しておく必要があります。明細の項目は、実施時期(年月必須)、実施内容(テーマや内容)及び期間、受講者名(別途名簿で可)、費用の支払証明(支払先名・内容・金額等、別途領収書等添付で可)などです。

 これまでは法人税からの控除限度額は、適用事業年度の法人税等の20%までのため、上乗せ措置の対象になっても控除しきれなかったケースがありました。今回の改正で、今は業績が良くなくても今後回復する場合にも、次年度以降に控除税額を繰越すことができるようになりました。雇用者に対する研修や必要な技術の習得などの人財育成を行ない、業績向上に役立てていただければと思います。なお、この制度の適用は、繰越税額控除をする事業年度において、全雇用者の給与等支給額が前年度より増加していることが要件となりますので、ご注意ください。

理事  萩原 春男

2024年7月 これからの相続税対策 ~生前贈与の活用~

 令和5年度の税制改正により見直しがなされた相続時精算課税制度及び生前贈与加算について、令和6年1月1日よりその適用が開始されました。

 これまでに相続税対策を実施してきた方も多くいらっしゃることと思いますが、今後の相続税対策を考える場合には、あらためてどのような対策が有効なのかを慎重に検討する必要が生じています。

 まず、生前贈与については、年間110万円の基礎控除を活用して毎年贈与することによる相続税対策が一般的でしたが、相続税の課税対象に加算される期間が従来の3年間から7年間に延長されたことにより、以前ほどの効果が期待できないこととなりました。

この生前贈与加算の対象者は相続又は遺贈により財産を取得した者のみであるため、今後は相続人以外の者(子の配偶者、孫など)に対して贈与するのがより効果的と言えます。

 では「相続人」に対してはどのような対策が有効なのか?その対策一つが相続時精算課税制度の活用です。相続時精算課税制度は子や孫に対して複数回に渡り合計2,500万円まで控除が受けられる(非課税となる)制度ですが、令和6年1月1日以後は110万円の基礎控除も適用できることになりました。ただし、この相続時精算課税制度にはいくつかのデメリットもありますので注意が必要です。

 相続税対策の贈与は、事前に相続税及び贈与税のシミュレーションを行ない、相続財産として課税される金額、贈与するの金額、贈与の時期・期間、誰に贈与するかなどをしっかりと相談しながら進めることが重要です。

 相続税対策のための贈与をお考えの場合は、まずは弊社スタッフにお気軽にお声掛けいただきたいと思います。状況に応じた最適な手法を一緒に検討させていただきます。

理事  岩崎 隆昭

2024年 6月    意識と状況の整理

違和感がある、腑に落ちない、そんな時にそれを見過ごしているとミスになる事が多々あります。

人間はミスをする事を避けられないわけですが、大きなミスや何度も同じミスを繰り返さないようにする事は出来ます。ミスの原因には、意識と状況があるそうです。意識については、知識経験の不足、慣れた作業に対する油断、考えずに習慣的に動く、注意力が足りない、集中していない、言い間違い・聞き間違いなどの確認不足、ミスに対する恐怖やストレスなどです。状況については、予期しないアクシデント、在るべき状態にない事に気付かなかった、たくさんの仕事を抱えているなどです。少しの違和感をそのままにしていると、徐々にあるべき状態にない事に慣れてしまい、いつか大きなミスをする要因となります。立ち止まって状況を整理しましょう。たくさんの仕事は優先順位を付けましょう。

 ところで、経験や知識の不足している人に、いつも言う事があります。難しい税法については出来なくてもいい、いつかできるようになる。でも簿記を知らなくてもできる事、自分のやったことを見直す事で防げるミスはしてはいけない、と。分からないという意識が脳を支配して注意力を発揮する事を放棄してしまっている状態になっているようです。

 人間は忘れる動物、メモを取ることは大切ですが、時々読み返さないとメモが役に立ちません。読み返す事で意識を整理します。ミスは反省ではなく検証すると良いそうです。原因を突き止め、その防止策を講ずる。これでミスの可能性は低減できます。最後に、人間自分に甘く他人に厳しくなりがちですが、他人のミスに寛容でいる事も心がけたいものです。


理事 萩原 春男

2024年 5月    趣味?楽しみ?こだわり?気にしている事

ゴールデンウイーク明けに原稿を書きました。

日本100名城のスタンプ集めや日本100名山の登山は有名なところだと思います。私は、2016年ごろから行っている事があります。「現存天守12城」に2016年から2019年で登城しました。姫路城から始めて、備中松山城・丸亀城・彦根城・松江城・犬山城・松本城・弘前城・丸岡城・松山城・宇和島城・高知城で締めました。もちろん100名城のスタンプも集めています。

また、「全日本タワー協議会20TOWERS(現在19タワー)」というものがあり、同時期からそこへの登頂も始めました。こちらは、あと2つのタワーが残っています(さっぽろテレビ塔は、過去に行ったことがあるのですが、行った年月日を覚えていないため未登頂としています)。有名どころでは、東京タワー・京都タワー・横浜マリンタワー・名古屋テレビ塔・通天閣・さっぽろテレビ塔などです。変わりどころでは、プレイパークゴールドタワー(現在退会)・ツインアーチ138・クロスランドタワー・夢みなとタワー・海峡ゆめタワーなど、名前からはどこにあるか想像できないタワーもあります。こちらの方は、2018年7月を最後に3タワー残して休止期間に入ってしまっておりましたが、この5月3日に五稜郭タワーに登頂しました。

また、以前から気になっていたものが夜景です。日本三大夜景や日本新三

大夜景というものがあります。神戸(六甲山)は2016年・函館(函館山)はこの5月4日、長崎(稲佐山)・北九州(皿倉山)・札幌(藻岩山他)などに行き眺めてみたいと思っています。

 60歳を越え、病気を乗り越え、仕事も、気にしている事も時間の許す限り全力で行っていこうと思っております。海外旅行へも積極的に出かけるつもりです。

 「一度きりの人生、悔やんでも悩んでも喜んでも笑っても同じ時間は過ぎていきます。どうせなら全力で前向きに楽しんで生きていきたいと思いませんか?」

常務理事 中山孝浩

2024年 4月    人として

かつて松下政経塾塾頭をされていた上甲先生は「経営者が一番やってはならないことは、言っていることと、やっていることが違うこと。」と教えてくださいました。

 稲盛塾長は、盛和塾例会において「経営者にとって最も重要な資質は何ですか?」との問いに、「一つは平均を上回る程度の知性。もう一つは高い倫理性だ。」と答えられました。

 「いわゆる頭の良さは、ほどほどで構わない。平均を上回れば十分。しかし、倫理観は違う。人並み外れた高い倫理観・道徳観を持たなければならない」と。

 世の中(社会)に貢献するという果てしない夢を追い続ける企業活動において、最も重要なものは“人として正しいか”という倫理観であると教えてくださいました。

 政治経済、企業をめぐる不祥事が頻発し、日本の倫理観の衰退が言われていますが、これは短期的な私利私欲を追いかけてしまった結果に他なりません。倫理観の欠落した私利私欲は、会社を破滅へと導きます。人生も全く同じです。

 コンプライアンスが重要視されるようになって久しく、一般的にコンプライアンス=法令遵守と解されていますが、これは、法令を守っていれば良いというものではありません。

たとえ法に触れていなくとも人としての良心に照らし、間違いかもしれないと思うのであればすべきではないということ。高い倫理観を含めた規範を遵守するということです。

 とはいえ人は弱い生き物です。私自身も、ともすれば私利私欲に流されてしまいそうになることも多々あります。そんな時は常に「お天道さまが見ている」と自分を戒め、自分都合ではなく「人として何が正しいか」を判断基準として行動するよう心掛けています。

 時代が変遷しても、どんな環境下にあっても、常に自身の人間性を磨き、「人として普遍的に正しいことは何か」を考え行動することが、必ず成功へと導いてくれるのだと思います。


理事長 渡辺 忠

2024年 3月   令和6年度税制改正 ~所得税の定額減税~

令和6年度税制改正大綱(令和5年12月22日閣議決定)において税制改正の内容が決定され、令和6年分所得税・個人住民税について『定額減税』が実施されることになります。

 具体的には、令和6年6月1日以後最初に支払う給与等につき源泉徴収を行なう際から定額減税を実施することになり、給与等の支払者に事務負担が求められることになります。したがって、定額減税の制度の内容を理解し、早期に準備を進めておく必要があります。

 定額減税額は、本人と扶養家族1人当たり、所得税3万円、住民税1万円です。

例) 配偶者と子供2人の場合

所得税の定額減税額

= 3万円(本人分)+3万円×3名

= 12万円


住民税の定額減税額

= 1万円(本人分)+1万円×3名

= 4万円


所得税源泉徴収については、令和6年6月以降、毎月の源泉徴収税額が減税額に達するまで順次控除します。また、住民税特別徴収については、6月の住民税は特別徴収されず、7月以降は減税額を控除した金額が通知されます。

このように給与計算の事務処理が煩雑となることが想定されますが、給与計算自体はPX2をはじめとするTKCシステムで対応が可能となります。ただし、定額減税額を計算するための扶養家族の数をあらためて確認しておく必要があります。定額減税額は16歳未満の扶養親族も対象となりますので、すでに提出された令和6年分扶養控除等申告書を再度確認し、扶養親族の人数を把握しておくようにしましょう。

なお、扶養親族の人数等に誤りがあった場合は、年末調整時に精算されることになります。定額減税額の計算を間違ったことにより、年末調整時に思わぬ追徴が生じてしまうことも考えられますのでご注意ください。

理事 岩崎 隆昭

2024年 2月    変化への対応

世の中では、システム化、DX化(デジタルトランスフォーメーション)の推進の必要性が説かれています。2月のこの時期ですので、個人の所得税確定申告について、ご紹介したいと思います。

所得税確定申告も次の段階へ移りつつあります。マイナンバーカードのマイナポータルから、データ連携をすると各種データが連携できます。収入については、勤め先の会社が対応していれば源泉徴収票のデータ入手が可能です。控除関係は生命保険料控除や医療費、ふるさと納税などです。ただし、各データ毎に最初の1回は設定が必要です。これが、なかなか手間がかかります。もっと簡単に出来ないのかという思いはありますが、マイナポータルサイトに入って、データ連携先の設定をします。マイナンバーカードへの信頼感が低い事に普及への課題がありますが、それはこの稿では置いておきます。設定してしまえば、国税庁HPからでも簡単に申告ができますので、今年は無理でも来年に向けてトライしてみてはいかがでしょうか。むしろトライしていただきたいと願っています。

所得税の確定申告が、より簡単になり複雑な内容以外の確定申告に税理士は必要なくなります。変化への対応は税理士事務所にも求められています。新しい付加価値を皆様に提供しなければなりません。

確定申告の期間にも、お客様に会う機会と時間を増やしたいと考えています。私たちレッドサポートは、これからも経営のパートナーとして頼られる存在になるべく、日々努めてまいります。


理事 萩原 春男

2024年1月    新年にあたり  ~ 経営環境の変化への対応 ~

能登半島地震により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

日本が、地震大国であるということは、言うまでもありません。ただ、それを知っているにも関わらず、地震が発生するたびに、多くの命が奪われ、破壊され、涙が流されます。

大きな自然の力を目の当たりにすると、私たちは、その無力さに打ちひしがれますが、それでも、その自然の力をもっと知り、少しでも過去の悲劇を繰り返さないようにと、立ち向かわなければなりません。

このような自然災害は、経営環境にも大きな影響を及ぼします。過去を振り返ると、「東日本大震災」が社会に与えた影響も大きく、震災による倒産が激増しました。帝国データバンクの調査によれば、東日本大震災による直接、間接の影響を受けた倒産は、震災からちょうど1年間で、約700件にも上るといわれています。これは、阪神・淡路大震災の発生から1年間の倒産数約200件の3倍以上の数字です。この倒産企業の従業員数は、合計で1万人をゆうに超えました。

経営環境に大きな影響を及ぼすのは、自然災害だけではありません。

私は、いかなる経営環境に置かれたとしても、自身が掲げた自社の理想像に向かい愚直に突き進むしかないと考えています。

これまで経験してきた経営に影響を及ぼす全ての力を把握し、少しでも過去の失敗を繰り返さないように、今より少しでもよくなるようにと、今年の干支である龍のごとく立ち向い勇気を持って前進しなければなりません。

乾坤一擲、今年もさらに熱く頑張りましょう!

理事長 渡辺 忠


2023年12月    病気からの復活

今年の8月号の職場の教養の感想にて少しふれましたが、今回、私自身の病気についてお伝えさせていただきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから、朝と晩に体温を測るようにしていました(夜はよく忘れてしまいましたが)。今年の1月初旬から37度台の熱が続き、1月27日には37.5度を超え、30日には38.6度になりました。ただ、身体がだるいとかボーっとするような症状はありませんでした(元々、熱や痛さには強いようです)。

さすがに、身体のどこかに異常があると思い、2月初旬にかかりつけの病院に行きました。当時の発熱外来は院内に入れず、外の駐車場が診察場所となっていました。コロナウイルスとインフルエンザの検査結果は陰性でした。2月に3度、3月に1度医者に通い、血液検査を受けましたが、原因がはっきりせず、膠原病(こうげんびょう)ではないかという診断でした。3月には39度を超える日もあり、40度を超える時間帯もありました。かかりつけの病院の紹介で、川口医療センターで検査を受けましたが、そこでもはっきりした病名は分かりませんでした。

2月頃からはさすがに体調が優れない日が続き、確定申告時期で、繁忙期でありながらも、体を休める時間が必要となってきました。3月下旬に再度川口医療センターで診察を受けて、検査入院をするように言われましたが、2週間程の長い期間仕事を離れることは考えられないと思っていました。3月31日に川口医療センターで別の先生に診てもらったところ、リンパが腫れているとの事で、都立駒込病院を紹介していただきました。後に分かったことですが、がん治療が有名な病院でした。

 4月3日、今までとは違う体調の変化を感じ、タクシーで駒込病院へ向かいそのまま検査入院、そして、抗がん剤治療が始まりました。病名は悪性リンパ腫でした。治療が始まり3週間ほどは意識が朦朧とし、身体と心(意識)が別々かのような状態の中、頻繁に悪夢にうなされました。

4月23日、ようやく身体と心が一致した通常の状態に戻り、その後は治療とリハビリの日々を繰り返し、5月27日に一時退院、7月29日まで入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を受けました。

9月初旬にPET-CT検査を受け、9月12日の検査結果では、ガンはないとの診断を受けました。今後は3か月ごとに病院へ検査(12月5日が初めての検査)に通います。

 私自身、今までは、「健康が取柄」「入院したのは生まれた時だけ」と言って自慢しておりました。今回の病気で改めて、家族・社員・仕事仲間等、人の大切さや有り難さ、自分自身の健康への気遣いや身体からのサイン等、多くの事を学ばせていただきました。


常務理事 中山 孝浩