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社会福祉法人制度の大改革への対応をご支援します

平成29年4月施行、社会福祉法人制度改革

平成28年3月31日、改正社会福祉法が成立し、同日公布されました。
今回の改正は、社会福祉法人制度の大改革であり、既存の社会福祉法人にも大きな影響があります。

平成29年4月1日の施行に向けて、既存の社会福祉法人も事前の準備が必要になります。

当コーナーでは、改正法の概要と改正法施行までに、既存の社会福祉法人において必要な準備をご説明します。
今後の対応等に関し、ご不明の点があれば、当事務所にお尋ねください。

老人ホーム
保育所

社会福祉法人制度改革の概要

社会福祉法人の公益性・非営利性を確保する観点から制度を見直し、国民に対する説明責任を果たし、地域社会に貢献する法人のあり方を徹底するもので、主な内容は次のとおりです。

  1. 経営組織のガバナンスの強化
  2. 事業運営の透明性の向上
  3. 財務規律の強化
  4. 地域における公益的な取組を実施する責務
  5. 行政の関与のあり方

1.経営組織のガバナンスの強化

経営組織のガバナンスの強化

従来の社会福祉法人の機関は、社会福祉法では理事及び監事の設置については定められていましたが、評議員や評議員会などは法律上任意に設置ができる機関とされ、その資格や各機関の具体的な職務権限、義務及び責任は厚生労働省の通知で定められていました。

改正法では、社会福祉法人の機関として、評議員及び評議員会の設置の義務づけ、会計監査人の設置や各機関の職務権限、義務及び責任の明確化がなされています。

  • 評議員会の必置と議決機関化
  • 一定規模以上の法人の会計監査人導入

改正社会福祉法人法における機関と役割

機関の名称[任期]※1 設  置 主な役割
評議員
[任期]4年
(6年まで伸長可能)
(法41①)
必置(法36①)
定数:定款で定めた理事の 員数を超える数(法40③)
資格:
  • 欠格事由に該当する者で ないこと(法40①)
  • 役員又はその法人の職員 の兼職禁止(法40②)
  • 特殊関係者の就任禁止 (法40④⑤)
  • 評議員会に出席し議決権を行使する(法45の8①、45の9⑥⑦)
  • 評議員提案権を有する(法45の8④準用一般法184、同法185)
評議員会必置(法36①)
  • 社会福祉法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる(法45の8②)
  • 理事、監事及び会計監査人を選任又は解任する(法43、45の4)
理事
[任期]2年
(定款により短縮可能)
(法45)
必置(法36①)
定数:6人以上(法44③)
資格:
  • 欠格事由に該当する者でないこと(法44①準用法40①)
  • 各理事について、当該理事と同族関係者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること(法44⑥)
  • 必須理事:(法44④)
  • 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
  • 当該法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者
  • 当該法人が施設を設置している場合は、当該施設の管理者
  • 理事会に出席し議決権を行使する(法45の13①、45の14④)
  • 評議員会において、評議員から説明を求められた事項について必要な説明をしなければならない(法45の10)
理事会 必置(法36①)
次に掲げる職務を行う(法54の13②~④、45の16②)
  • 法人の業務執行の決定
  • 理事の職務の執行の監督
  • 理事長・業務執行理事の選定及び解職
  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財
  • 重要な使用人の選任及び解任
  • 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他社会福祉法人の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制の整備
  • 定款の定めに基づく役員等の損害賠償責任の免除
理事長
[任期]
理事の任期に応ずる
必置(法45の13③)
定数:1人(法45の13③)
資格:理事であること(法45の13③)
  • 法人の業務を執行する(法45の16②)
  • 法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(法45の17①)
  • 自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない(法45の16③)
業務執行理事
[任期]
理事の任期に応ずる
任意(法45の16②)
資格:理事であること(法45の13②)
  • 法人の業務を執行する(法45の16②)
  • 自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない(法45の16③)
監事
[任期]2年
(定款により短縮可能)
(法45)
必置(法36①)
定数:2人以上(法44③)
資格:
  • 欠格事由に該当する者でないこと(法44①準用法40①)
  • 役員又はその法人の職員の兼職禁止(法44②)
  • 監事のうち、各役員について、その同族関係者が含まれていないこと(法44⑦)
必須監事:(法44⑤)
  • 社会福祉事業について識見を有する者
  • 財務管理について識見を有する者
  • 理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成する(法45の18①)
  • 計算書類等を監查し、監杳報告を作成する(法45の28①②)
  • 理事等に対して事業の報告を求め、法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる(法45の18②)
  • 監事及び会計監査人の選任に関して監事の同意を得なければならない(法43③準用一般法72、73)
  • 一定の事由により会計監査人を解任できる(法45の5)
  • 理事の不正の行為等を理事会に報告する義務がある(法45の18③準用一般法100)
  • 理事会に出席する義務がある(法45の18③準用一般法101)
  • 評議員会において、評議員から説明を求められた事項について必要な説明をしなければならない(法45の10)
  • 評議員会の議案を調査し、法令違反等があれば評議員会に報告しなければならない(法45の18③準用一般法102)
  • 理事の法令等に違反する行為の差止めを請求できる(法45の18③準用一般法103)
会計監査人
[任期]1年
(法45の3①)
任意(法36②)
ただし、特定社会福祉法人※2は必置(法37)
資格:
  • 公認会計士又は監査法人であること(法45の2①)
  • 欠格事由に該当する者でないこと(法45の2③)
  • 計算書類及び附属明細書を監査し、会計監査報告を作成する(法45の19①)
  • 財産目録等を監査し、会計監査報告に結果を記載する(法45の19②)
  • 会計帳簿等の閲覧及び謄写をし、理事等に対し会計に関する報告を求める、又は法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる(法45の19③④)
  • 理事の不正の行為等を理事会に報告する義務がある(法45の19⑥準用一般法108①)
  • 監事と意見を異にするとき、定時評議員会に出席して意見を述べることができる(法45の19⑥準用一般法109①)
  • 会計監査人の出席を求める決議があったときは、定時評議員会に出席して意見を述べなければならない(法45の19⑥準用一般法109②)

※1 任期:選任後それぞれに掲げる年数以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時評議員会終結の時までの期間をいいます。
※2 特定社会福祉法人:その事業の規模が政令で定める基準を超える社会福祉法人をいいます (法37)。

2.事業運営の透明性の向上

公益社団法人及び公益財団法人における計算書類及び財産目録等の作成及び承認に関する手続を基に、計算書類等の作成及び承認の手続を厳格化し、これらの書類の開示に関する規定の整備が行われています。

  • 計算書類及び財産目録等の作成及び承認の手続の明確化
  • 計算書類及び財産目録等の備置き及び閲覧に供する義務
  • 会計基準及び会計帳簿の法定化
  • 財務諸表、現況報告書、役員報酬基準の公表にかかる規定の整備 

3.財務規律の強化

社会福祉法人の非営利性、公益性に鑑み、公益社団法人及び公益財団法人と同様に特別の利益供与及び高額な役員報酬等を禁止するとともに、外部監査による財務情報の信頼性を担保し、過大な剰余金の社会福祉事業等への再投資に関する規定の整備が行われています。

  • 役員・評議員の報酬等の基準の承認と公表、特別の利益供与禁止の法定化
  • 一定規模以上の法人における会計監査人の設置義務
  • 理事の職務の執行が法令に適合する体制整備に関する規定の法定化
  • 福祉サービスに再投下可能な財産額の明確化
  • 社会福祉充実計画の作成・承認・実施の義務化

4.地域における公益的な取組を実施する責務

社会福祉法人の本旨として本来の役割を明確化するため「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう務めなければならない 」(法24条2項)と、責務規定が創設されました。

5.行政の関与のあり方

立ち入り検査等に関する規定が新たに設けられ、勧告・公表の規定、所轄庁の知事への協力依頼や知事等の所轄庁に対する意見等行政の連携についての規定が新たに追加されま した。

  • 所轄庁の指導監督の機能強化と国・都道府県・市の役割と連携
  • 定款の変更における認可と届出の明確化
  • 都道府県による法人の活動状況等の収集・分析・活用、国による全国的なデータベー スの整備

社会福祉法人の新制度移行へのスケジュール

新たな社会福祉法人制度への移行のための手続を行う時期とその内容を、次に示しておきます。

時  期 手  続
施行日(平成29年4月1日)前まで
  1. 新制度に対応した定款変更の所轄庁による認可(改正法附則7)
  2. 定款に定める方法による評議員の選任[始期付就任承諾](改正法附則9①、法39)
施行日前日(平成29年3月31日)
  1. 改正前の制度による評議員の任期満了による退任(改正法附則9③)
施行日(平成29年4月1日)
  1. 新定款の効力発生(改正法附則7②)
  2. 評議員の選任の効力発生[就任](改正法附則9②)
施行日以後最初の定時評議委員会前まで
  1. 任期満了の役員(理事・監事)の定時評議員会終結時までの任期伸長(改正法附則14 、15)
  2. 計算書類等の作成(法45の27②、改正法附則18)
  3. 財産目録等の作成(法45の34①)
  4. 監事による計算書類等の監査(法45の28①、改正法附則18)
  5. 社会福祉充実計画の作成(法55の2①、改正法附則23)注1 
    ①公認会計士、税理士等の意見聴取(法55の2⑤)
    ②地域住民等の意見聴取(法55の2⑥)
  6. 理事会の開催[定時評議員会の2週間前まで](法45 の32①)
    ①計算書類等の承認(法45の28③、改正法附則18)
    ②新役員候補者の承認(法45の8②)
    ③社会福祉充実計画の承認(法55の2①③)注1
    ④評議員会の招集決定(法45の9①③)
  7. 計算書類等の備置き(法45の32①、改正法附則18)
定時評議委員会(定款の定めに応じ平成29年6月30日までに開催)
  1. 計算書類等の承認(法45の30②、改正法附則18)
  2. 新役員の選任(法43①)
  3. 特定社会福祉法人における会計監査人の選任(法43①)
  4. 社会福祉充実計画の承認(法55の2⑦)注1
  5. 財産目録等の承認 注2
  6. 終結時:現行役員の任期満了による退任(改正法附則14)
定時評議委員会後遅滞なく
  1. 理事会の開催
    ①理事長の選定(法45の13③)
    ②業務執行理事の選定(法45の16②)
登記(就任後2週間以内)
  1. 理事長の登記(法130)
平成29年6月30日まで

  1. 財産目録等の備置き(法54の34①)
  2. 所轄庁への届出
    ①計算書類等、財産目録等の届出(法59)
    ②社会福祉充実計画の承認申請(法55の2①②、改正法附則23)注1

注1 社会福祉充実計画を作成しなければならない場合に限る(法55の2①)。
注2 定款に承認事項として定めた場合又は評議员から請求がある場合に限る(法45の8②)。