経営者としてビジネスマンとして、また人として生きていく上で、高い倫理観を持つことは大切です。と同時に「高潔さ」を持つことがとても重要なことだと思います。まさに中村天風先生の『研心妙』にある「さらばひたむきに只想え。気高く、強く、一筋に」の「気高く」です。人としての「気高さ」とは言行一致の度合いと自己犠牲の精神だと思います。
ドイツの詩人ゲーテは「人間は結局、自分がなりたいと思う人間になる」と言いました。人は「こうなりたい」と強く願い行動に移すことで、少しずつ言行一致し、理想の自分に近づいていくのです。また、「ノブレス オブリージュ(Noblesse Oblige)」という言葉があります。19世紀のフランスで生まれた言葉ですが、「高い社会的地位には義務が伴う」という意味で、平たく言えば「自己犠牲」です。
最近、こうした言葉が世界から日ごとに消えつつあるように思います。「もっと儲けたい」「自分だけ得をすれば良い」といった考え方が席巻し、気が付けば痛々しいまでの競争社会が出来上がってしまいました。もちろんビジネスの世界は真剣勝負。強くなければ生き残れません。しかし、ここでよく考えなければならないのは「強い」と「多く儲ける」とは違うということです。自社(自分)だけでなく、社会全体の幸福にどれだけ思いを馳せるのか。その視座の高さと心の温かさが求められるのだと思います。むろん自己犠牲のためには、自己保身も必要です。自分の土台をしっかり確保しながら、一部を世のため人のために使う。それが地に足の着いた自己犠牲だと思います。
ビジネスで実績が出せるのは、企業市民として生かしてもらっているからです。そう思えば自己犠牲の発想も自ずと出てきます。一企業(一個人)として、その自覚を持って何かを社会に還元する。その行動が人間の品格として、また「気高さ」として現れてくるのです。「気高くありたい」「強くありたい」と真剣に考える姿勢を持っている人は、誇り高く自信に溢れ、実に堂々と働いています。私も常にそうありたいと思っています。
理事長 渡辺忠
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
日本には約250万の企業があるといわれています。その98パーセント程度を占めるのがいわゆる中小企業です。これらの企業のほとんどが、ある程度の規模までいくとパタッと成長の波が止まり、踊り場からなかなか抜け出せなくなってしまいます。稲盛塾長の言葉を借りれば、「中小企業とおできは大きくなると潰れる」ということでしょうか。
企業の成長が止まる原因は何でしょうか。最大の原因のひとつは、社長が社員に「任せる」ことができていないからだと考えています。「会社は経営者の器以上に大きくはならない」などとよくいわれますが、器のなかにはこの「任せる能力」が含まれています。
一人の人間にできることには限りがあります。頭も体もひとつしかなく、たとえ一睡もしなかったとしても一日は24時間しかありません。その制限のなかで企業の殻をひとつまたひとつと破りながら脱皮して成長するには、結局、任せることが必要になってくるのです。
アメリカにはこんな言葉があります。
経営とは、人を通じて物事を達成する技なり
経営とは、平凡な人に非凡な仕事をさせる技なり
自分のまわりの人をいかにして十分に活用するか、それこそが経営者には問われてくるということです。
加えていうならば、任せることは会社の成長につながるだけではなく、社員のモチベーション アップにもつながります。人は、任されればうれしいものです。自分を信じて期待してくれているということの証だからです。さらに、任されてチャレンジする過程で、社員は能力を伸ばすこともできます。任された仕事を成し遂げれば、達成感と喜びが生まれます。任せることは、このようなメリットがあるのです。
経営者から社員へ、先輩から後輩へ。教えること、任せること、どちらが先でも構いません。
今年は、相手の成長を心から願うことから始めてみませんか
代表理事 渡辺
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